MaaSの可能性 2019 1 14
最近は、バスが、ちょっとした人気かもしれません。
テレビ番組で、人気俳優がバスに乗って小旅行をするという番組があります。
その影響かもしれません。
都市部に住む私も、バスが好きです。
車窓から眺める都市の景色は、夏も冬も、物語があるかもしれません。
駅前からは、バスの本数が多く、便利に利用する人も多いでしょう。
しかし、いくらバスが便利で快適だったとしても、
バスを購入する人はいないでしょう。
確かに、バスは、自動車ですが、
多くの人は、バスというサービスを利用しています。
つまり、バスは、「MaaS」(Mobility as a Service)でしょう。
毎週、休日の土曜日にバスを利用するだけならば、
個人にとっては稼働率は低く、
バスを所有するよりは、サービスとして利用したほうがよいのです。
実は、「マイカー」と呼ばれる自動車も稼働率が低いでしょう。
都市部において、多くの人は、日曜日の買い物に利用する程度かもしれません。
しかし、マイカーが「MaaS」にならないのは、なぜか。
日本では、稲作農家は、小規模農家が多い。
にもかかわらず、どの農家も、
数百万円もするコンバインを所有しています。
これは、どの農家も、
「稲刈りをするには、ちょうどよい時期だ」と思う時期が同じだからです。
だから、どの農家も、経営規模は小さいのに、
トラクター、田植え機、コンバインを所有しています。
稲作農家を経営学で見たら、
何度倒産しても不思議ではありません。
耕作面積が小さいのに、高額な農機具を多数所有していたら、
過大な設備投資となり、経営危機となるでしょう。
倒産しないのは、兼業農家が多いことや農業補助金があるからかもしれません。
さて、これほどの設備投資が必要となると、
新規参入者は、ほとんどないでしょう。
もちろん、倒産の可能性が高い業種には、
新規参入が少ないのは、経済学の法則のとおりです。
日本では、マイカーという業界も、
稲作という業界も、先細りが確実視されています。
「MaaS」という手法で解決できないものでしょうか。
MaaS Mobility as a Service 2018 12 16
自動車は、「所有する」から「共有する」時代になるかもしれません。
書名 クルマをディーラーで買わなくなる日
2030年には、新車が「定額乗り放題」になる
著者 桃田 健史 洋泉社
ひょっとすると、「定額乗り放題」どころか、
「実質無料で乗り放題」になるかもしれません。
たとえば、テレビ番組の制作費は、巨額ですが、
視聴者は、無料で番組を視聴できます。
それは、CMを流すことによって、無料になっています。
これが、自動車の「乗り放題サービス」で可能か。
それはともかく、「定額乗り放題」によって、
若者の「自動車離れ」を防ぐことができます。
今の若者は、遊びに行くのは、
駅に集合で、電車を利用して出かけます。
昔だったら、郊外のファミリーレストランに集合して、
車で出かけるのが、定番でした。
要するに、若者のライフスタイルが大きく変わったと言えるでしょう。
著者の取材によると、
トヨタ車のユーザーの平均年齢は、
クラウンで60代後半、
カローラアクシオは、70代となっている。
1960〜1970年代の高度成長期に、
自動車に強い憧れを抱いた世代は、
70代に達しており、
そういう「自動車好き」が高齢によって、
免許返納に直面する時期が近づているという。
一方で、海外からは、
「カーシェアリング」や「定額乗り放題」という「黒船」が押し寄せている。
にもかかわらず、政策決定者たちは、古い議論を繰り返しています。
政策決定者も高齢で、「自動車好き」の時代の人だからです。
これからの時代は、政策決定者に若者が入らないと、
時代の変化に追いついていけなくなります。
「時代は新しく、政府は古いまま」では、
若い世代の不満は高まるばかりでしょう。
なぜ、若者は、自動車に乗らなくなったのか。
スマートフォンに原因があると、著者は言います。
かつて、マイカーは、「プライベート空間」だった。
しかし、今や、電車やバスでも、
スマートフォンに夢中になることによって、
「プライベート空間」を作ることができるという。
昔は、電車に乗ると、
「他人と目が合うのが嫌で、恥ずかしい。
どうやって、目が合わないように視線を外しておくか」というのが、
内気な若者の悩みでしたが、今や、そういう悩みはありません。
スマートフォンに夢中になっているうちに、
学校近くの駅についてしまった。
著者の試算によると、生涯における、
マイカーの費用は、マイホームに匹敵するかもしれません。
19歳で免許を取って、75歳で免許を返納するまでの56年間で、
乗り換えの車の台数が7台で、車両価格を200万円として、
さらに年間の諸費用を加えると、生涯で、3,000万円を超えるという。
このような現実に、若者は、うすうす気づいているかもしれません。
著者によれば、「所有するコストが高いならば、共有すればよい」という発想は、
至極当然であり、実は、住宅は、そういう発想になっているという。
住宅は、所有する場合もあれば、「賃貸」という発想もあるというのです。
「自動車離れ」の若者を自動車市場に戻すには、
「定額乗り放題」サービスが有効かもしれません。
自動車の「所有から共有へ」というサービスは、
ドイツの自動車メーカーが積極的に取り組んでいて、
日本は、「周回遅れ」となっています。